2021年07月15日

和田くんへ 2021 06 21 Mon.


パステルカラーの服が好きだった和田くんへ


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これは2021年6月21日にこの世から旅立ったミュージシャン(ベース、ピアノ)であり医師でもあった和田良春について書いたもの。彼とは音楽を通じて知り合ったのでミュージシャンの肩書きを先に書きました。医師であった彼を私はそれほど知らないけれど、病院であった面白エピソードを彼から聞くのは好きだったな。


私ってそもそもプライベートなことをネットにおっぴろげるのが好きじゃないじゃないですかぁ(知らんがな)。もちろん自分だけのことなら書くんだけども。なのでこういう身内や親友が亡くなったことについて何か書くということも普段ならしないんだけど、でも本来なら、コロナじゃなかったら、みんなで和田くんとの楽しかった思い出を語り合って故人を偲ぶことができたはずなので、ここに彼が亡くなった時のことや昔の記憶など思いついたことをただただだらだらと書いてみることでその代わりになればと思いペンをとりました。こういうのはすぐ書けばいいんだろうけど、なかなか踏ん切りが付かずに遅くなってしまった。これを読んでもよくわからないかもしれないけれど、和田くんなら超いいねしてくれると思うので勇気を出して。



2021年6月21日夕刻、散歩に出かけようと玄関で靴を履いてたいら、携帯が鳴った。君がその日の朝に亡くなったという知らせだった。体の力が抜け立ってられずその場にグシャッと座り込んだ。涙が止まらなかった。悲しいとか寂しいとか後悔とかそういうものはさて置いて、溜まってたものを一気に吐き出した感じだった。無理矢理外出したけれど、不意に何度も思い出して顔がぐちゃぐちゃになるほど泣いてしまった。それは今もそうだ。翌日なら和田くんに会えるという報せが来た。もちろん行くと返事をした。


眠っている和田くんは3月に会った時よりかなり痩せていた。かなりの痛みに耐えてほんとよく頑張ったよね。仕事も直前までしてたって聞いたよ。ほんますごいわ。和田くんの同級生や病院関係の人達から自分の知らない逸話を聞いて、ほんとみんなに愛されてたんだなってことをあらためて知れて、嬉しかったし、勝手だけど安心もした。大量に積まれてる医学書やCDの一番手前の目立つとこに岡村ちゃんのアルバムがあったのを見つけて、ほっこりもしたな。実際に会ったら意外と冷静な自分がいて。まあ帰りの電車で泣いてしまうんだけど。その夜は神戸の実家に泊まった。コロナ以後始めて。


2018年の夏、和田くんから昼間に電話があったけど出られなくて折り返した。病気になってしまった、しかも事態はかなり深刻だと教えてくれた。二人して泣きながら頑張ろう、頑張るよって言い合った。後日大阪の入院先にお見舞いに行ったらいつもの和田くんがそこにいて、いつものように明るく迎えてくれた。「普通にしてるからびっくりしたやろ?」って笑ってたね。昔からの友人も見舞いに来られてて、一緒にわいわいと喋って賑やかだったよね。あの時はピザごちそうさま。ピッツァ!こちらに気を遣わせまいと明るくしてくれてたんだろうな。ついでに散髪するからって、阪急梅田駅まで見送ってくれて。絶対ライブやろうな!って言って改札前でハグをして別れた。


自分ができることは一緒に演奏することしかなかったのに2019年は個人的にキツい一年で、実現できなかった。和田くんから9/28にシェドゥーブルでライブをするって聞いて大阪まで駆けつけた。和田くんの演奏はあるべくしてある音が彼から自然に出ていて素晴らしいものだった。帰りの車の中で「ようやく、時間がかかったけど、”余計なこと”が何かわかってきた」って言ってたね。それと、「有難いことにがん細胞が見当たらなくなった。神様がもう少しだけ生きてもええでって言ってくれてる」とも。もう少し、って言葉が引っかかったけれど、とても嬉しかった。


ライブやろうってやりとりしてたのに2020年になったら、コロナが世界を埋め尽くしてしまった。コロナのストレスで自分も心身ともに不調に陥った。和田くんとは会えなかったけれど、岡村ちゃんの話題などちょこちょこ連絡は取り合ってた。けれど、秋を過ぎた頃から返事がなかなか帰ってこなくなった。2021年に入ってすぐ、和田くんから体調が悪化したと連絡をもらった。そしてタイムリミットがあることも告げられた。


3月になって体調がいい日に思い立って久しぶりに神戸ビッグアップルに行ったと和田くんから電話があった。そこで病状のことを告げ、マスターからライブやろ!と背中を押され、出演していた木村文彦さんと5/8にライブを企画したという。木下くんも出演してくれへんやろか、って和田くんからオファーがあった。もちろん快諾した。一緒に演奏したいのもあるし、もし自分がライブに出られなくても木下くんがいてくれたら安心だから、という理由だった。


その数日後だったかな、3/28に神戸ビッグアップルで先端音楽実験会という和田くんが仕切りをやる即興演奏のワークショップがあるので参加しないかという連絡を受けた。それは和田くんの同級生でずっと一緒に音楽をやってきた崎山くんと久しぶりに連絡が取れ、彼がWSに出演するからどうしても私にも来てほしいと。三人で音を出すのは10年ぶりくらいだった。それなのに演奏を始めると、そうそう!これこれ!ってすぐ三人の音楽になって、身震いしながらめっちゃ興奮してた。もっと一緒に演奏したかった。


和田くん、崎山くんとの出会いは先端音楽実験会の前身である内橋和久さん主宰のNew Music Actionという即興演奏のワークショップだった。96、いや97年だったかな?三人ともまだ20代後半だ、若いなあ。それから我々三人とギターの西浦くんドラムの進くんと五人でMETAXAというバンドで活動したり、和田/崎山/木下の三人でCalifornia 18というバンドをやったり。California 18のバンド名の由来は絶対公言できないんだけど(笑)自分は今までバンドをほぼやったことなかったから、みんなと演奏するのはほんと楽しかったなあ。和田くんのベースはめっちゃユニークでかっこいいんよね。フレーズや音符を弾くってよりはベースから色んな面白い音が出るような弾き方をしてて。ドラムスティックをベースの弦の間に挟んでスティックで弦を叩くパーガッシブな演奏は彼の代名詞やったな。ガムランみたいで、あれはほんま好きやった。和田くんの演奏は純粋に音楽が好きなんやなって感じがめっちゃ伝わってきてこっちも演奏しててすごい楽しかったな。もっと一緒にやりたかった。


和田くん、5/8のライブに出られなくてほんとごめんなさい。コロナのせいで俺の心が壊れなければと、悔やんでも悔やみ切れない。和田くんは仕方がないよって優しく言ってくれたけど……とても苦しかった。でも、崎山くんに出演を代わってもらったのは、ファインプレーやったやろ?なんて強がりではあるけれど、自慢したいのも事実で。配信で見た和田くんと崎山くんはめっちゃかっこよかったよ!


プライベートで和田くんには何度も助けてもらったなあ。東京で災難がいくつか重なって神戸に出戻ったあの日、和田くんは大阪駅まで迎えに来てくれたよね、飯食おうって。涙が出るほど、実際出たけど、嬉しかったよ。他にも色々あるんですよ。博論があんなことになったときもずっと励ましてくれたし。電話で何度も辛い話を聞いてくれたこともあったよね。ほんま感謝してもしきれへんわ。ありがとうな。


そうそう、私はお互いの家族だけで結婚式を挙げたんだけど、急遽飛び入りで沖縄まで来てくれたよね。日帰りで!嬉しかったなあ。さすが和田くんですよ、フットワーク軽っ!東京で学会がある時は度々うちに泊まってくれて、酒を飲んで語り合ったなあ。いつだったか、実家から母と妹がうちに遊びに泊まりに来た日と重なっちゃって。翌日母親が愛宕神社に行きたいって言って、じゃあ俺も行くって和田くんもついてきてくれて!顔はめパネルで写真撮ったりね。和田くん楽しそうに鯉に餌あげてたね、って母親は今でも言うんだよね。二子玉から俺んちまで地ビールの店全部行こう!って盛り上がって、しこたま飲んだ日もあったよね。思い出すと今でも笑っちゃうなあ。色々思い出すなあ。


和田くんが眠ってる隣でみんなからお酒に関するエピソードを色々聞いて改めて思ったけど、和田くんにとってお酒は周りの人たちを幸せにするための道具だったんだね。みんなに愛されてた和田くん。君のいる人生で、私は幸せでした。後悔することも多々あります。もうどうしようもないけれど。そんでこれからは、君のいない人生を生きなきゃいけないんだよな。どうしたらええんやろな。難しいな。


ほんとに思いついたことをだらだら書いてたから長くなってしまった。和田くんへ、ってタイトルなのに誰に向けて書いてるのかよくわからんし…。なんかこれでいいのかとか、書いてよかったのかなとか、やっぱりアップするのやめようかなとか、まだまだ書けるのに書き足りないなとか、和田くんのことちゃんと書けてるのかなとか、変な文章だとか知らない人にいちゃもんつけられるのやだなとか色々たくさん思っちゃうけど、考えすぎなのが私のダメなとこなのでまあいいかってことでネットの海に放り込んでやろう。





和田くんとは、今週の7/17(土)に神戸ビッグアップルで木村文彦さん、崎山くんとライブをする予定でした。
5月に私が参加できなかったから、またやろうって言ってくれて、ブッキングしてくれたんです。
和田くんはいないけど、ライブはやります。
特に追悼ライブとかお別れライブとかではなく、普通にライブをしようと思います。
和田くんいないってさっき書いたけど、必ず和田くんは来てくれる。





木下和重




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posted by kinok at 17:45| Comment(0) | diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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